年度に対する異常な拘り
日本企業のダメなところを垣間見た。
私の担当する技術開発が当初予定より早く完成しつつあるため
私が上司にプロジェクトの加速化を提言した。
具体的には自社開発は終わったので関係会社へ導入するという内容。
しかし今年度はそこまで進める予定はない
(期初にそこまで宣言していない)
ことを理由にプロジェクトの加速化は承認されなかった。
日本企業は、ある意味真面目過ぎる。
上手くいけば行ったなりに進ませればいいし
ダメならその場で止めればいい。
それができない。
その理由の一つが年度に対する異常な拘り。
期初で本年度の目標、スケジュールを宣言すると
それを逸脱することは承認されない。
予算も人事、査定もすべて年度が基準になっているからである。
期初に計画したことに対して、できたかできていないかで評価されるため。
期初に計画していないことをやったところで評価するほどの柔軟性がない。
技術的にダメだと思っていても年度内は頑張ろうという異常行動をとることすらある。
残念ながら、すべての企業が4月から年度が始めることはないし
ライバル企業は待ってくれない。
では、どうすればいいか。どうすれば年度内に方向転換ができるのか。
①危機感を煽る 他社動向を説明する
もっとも正攻法な方法。年度に対する異常な拘りはあくまで自社内でのみ成立する。
他社の期初計画が自社の期初計画を上回っていることを説明すればよい。
そして自社の期初計画を期中により高いレベルに書き換える。
上司が拠り所としている期初計画を書き換えることができれば
自分の思い通りに仕事を進めることができる。
②期初計画を終え、予算も使い切る
自分の仕事が本当に進んでいる。又は終える必要があるならば
期初計画に対する回答が全てできるはずである。
そしてその計画を実行するために確保した予算も使い切れるはずである。
要は計画が全て終わってしまったことを証明する。
では、今期の残り何をしようかという話ができる。
ただし、その後に仕事を進める予算が確保できない場合も多い。
その場合に備えて予算を使い切る時に、その後の仕事を見据えて消費する。
要は期初計画を超過する予算の使い方をする。
日本企業の良い所でも悪い所でもあるが
一旦ついた予算は法律に触れなければ使途に対して寛容になる。
もちろん、依頼内容と見積もりに隔たりがあることは問題だが
依頼内容自体を上司がとやかく言うことは少ない。
予算を次の仕事に向けられるのは一時しのぎである。
しっかりと上司を説得して期初計画を上回る仕事に移ることを
合意することは怠ってはいけない。
①②のような工夫をせずに柔軟に組織が変わっていく会社が
日本に多く存在するようになることを望むばかりである。